自動車保険:GEICOとProgressiveが最強?米国駐在員が教える賢い選び方

自動車保険:GEICOとProgressiveが最強?米国駐在員が教える賢い選び方

米国駐在員が実体験をもとに、GEICOとProgressiveを中心に自動車保険の選び方、日本と異なる点、お得な割引などを解説

【実体験】カリフォルニアからニューヨークへの引っ越しで保険料が4倍に

私と妻、17歳の子供(当時)の家族構成で、セダンとSUVの2台を所有していた時の話です。カリフォルニア州在住時は、東京海上日動(Tokio Marine)の自動車保険に加入し、年間保険料は約3,000ドルでした。

ところが、ニューヨークに引っ越した際、Travelers保険で見積もりを取ったところ、なんと年間12,000ドルという驚愕の金額が提示されました。これには本当に驚き、様々な保険会社を検討した結果、最終的にはGEICOに落ち着き、年間5,000ドル強まで抑えることができました。それでも以前の倍近い金額です。

その後、子供が大学に進学して家を出たため、「家から100マイル以上離れたところに別居している」という条件で、現在は車2台で年間3,200ドルにまで下がりました。こうした経験からも、米国での保険料は様々な条件で大きく変動することを実感しています。

アメリカの自動車保険 – 日本との大きな違い

米国に駐在や留学で滞在する日本人にとって、自動車保険の仕組みの違いは頭を悩ませる問題の一つです。日本とアメリカの自動車保険には、いくつかの重要な違いがあります。

日米の自動車保険の主な違い

  • 賠償責任保険の限度額:日本では「無制限」が一般的ですが、アメリカでは上限が設定されています。
  • 地域による価格差:州ごとに法律や要件、事故率が異なるため、同じ条件でも場所によって保険料が大きく変わります。
  • 運転歴の評価:多くの米国保険会社は、日本での運転経験を考慮してくれません。
  • 初期保険料:米国での運転歴がない場合、初期保険料は非常に高額(一般的に$3,000~$5,000)になることが多いです。

GEICO vs Progressive – 特徴と比較

米国の大手自動車保険会社であるGEICOとProgressiveは、多くの駐在員や留学生に人気の選択肢です。両社の違いを理解し、自分のニーズに合った保険会社を選ぶことが重要です。

比較項目 GEICO Progressive
平均年間保険料 $1,778 $1,848
多車割引 最大25%割引 平均12%割引
新車割引 最大15% なし
軍人割引 最大15% なし
特徴 ・強力なテクノロジーとアプリ
・オンライン対応が充実
・複数の割引制度
・カスタマイズ可能な補償
・Snapshotによる運転習慣割引
・gap保険などの追加オプション
おすすめの人 ・価格重視の人
・シンプルな保険を求める人
・オンラインでの手続きに慣れている人
・カスタマイズを重視する人
・ペイ・アズ・ユー・ドライブ型を希望する人
・幅広い補償を求める人

調査によると、GEICOは全米の82%の州で、Progressiveより安い保険料を提供していますが、DUI(飲酒運転)や事故歴がある場合は、Progressiveの方が安いケースが多いようです。

州による保険料の違い – なぜこれほど差があるのか

私の経験でも明らかなように、アメリカでは州によって自動車保険料が大きく異なります。これには以下のような理由があります:

  • 州法の違い:各州で必要な最低補償額や保険の種類が異なります。
  • 交通事故率:ニューヨークやフロリダなど、一部の州では事故率が高く、保険料に反映されます。
  • 盗難率:都市部では車両盗難が多く、保険料が高くなる傾向があります。
  • 訴訟傾向:訴訟が多い州では、保険会社のリスクが高まり、保険料に影響します。
  • 気象条件:ハリケーンや雪害の多い地域では保険料が高くなることがあります。

賢く保険料を抑える方法 – 活用すべき割引制度

アメリカの自動車保険料を抑えるためには、適切な割引制度を活用することが重要です。以下は最も効果的な割引制度です:

1. マルチカーディスカウント(複数車割引)

2台以上の車を同一の保険会社で保険に入れると、大きな割引を受けられます。GEICOでは最大25%、Progressiveでは平均12%の割引が適用されます。私たちのケースでも、2台の車を同じ保険会社で契約することで、かなりの節約ができました。

2. バンドルディスカウント(複数保険割引)

自動車保険と住宅保険(または賃貸保険)を同じ会社でまとめると、5~15%程度の割引が受けられることが多いです。特に長期滞在者には検討の価値があります。

3. 遠距離大学生割引

私たちが実際に活用したのがこの割引です。子供が大学に進学して「家から100マイル以上離れた場所に住んでいる」場合、保険料が大幅に下がることがあります。実際に我が家の場合、この条件適用で年間保険料が約2,000ドル近く下がりました。

4. 安全運転割引

多くの保険会社では、無事故・無違反の運転記録に対して割引を提供しています。GEICOでは5年間無事故で最大22%の割引が適用されることもあります。

5. 安全装置割引

エアバッグ、盗難防止装置、自動ブレーキなどの安全装置が搭載されている車は、保険料が安くなる傾向があります。

日本人駐在員・留学生のための保険選びのポイント

日本での運転経験を考慮してもらうには?

一般的に米国の保険会社は日本での運転経験を考慮してくれませんが、一部の例外があります:

  • 日本の警察署から無事故証明書を取得し、英訳して提出する
  • 日系保険会社(東京海上日動など)や、日本人向けのプログラムがある保険代理店を利用する
  • 個人エージェントの中には、日本での運転歴を考慮してくれる人もいる

保険会社選びのステップ

  1. 複数の保険会社から見積もりを取得する:少なくとも3社以上から見積もりを取り、比較しましょう。
  2. 必要な補償内容を理解する:アメリカでは対人・対物賠償責任保険の限度額が設定されているため、十分な補償額を確保しましょう。
  3. デダクティブル(免責金額)を調整する:免責金額を上げると月々の支払いが減りますが、事故の際の自己負担は増えます。
  4. 割引の可能性を確認する:上記の割引に加え、学生割引や優良ドライバー割引など、適用可能な割引を確認しましょう。
  5. 日本語対応の有無を確認する:特に初めての場合、日本語対応のエージェントがいると安心です。

実体験:保険料を劇的に変える生活イベント

私の経験からわかるように、以下のような生活イベントは保険料に大きな影響を与えます:

保険料に影響する主な要因

  • 引っ越し:カリフォルニアからニューヨークへの引っ越しで保険料が4倍になった経験があります。州や地域によって大きく変わるため、引っ越しの際は必ず複数の見積もりを取りましょう。
  • 家族構成の変化:子供が大学進学などで別居すると、保険料が下がる可能性があります。
  • 車の変更:新車や高級車に変更すると保険料が上がりますが、安全装備が充実していると割引が適用されることもあります。
  • 運転記録:事故や違反チケットは保険料を上昇させます。逆に長期の無事故記録は割引につながります。

まとめ:最適な自動車保険を選ぶための3つのポイント

必ず複数の保険会社から見積もりを取得し、同じ補償内容で比較する。私の場合、Travelersは高すぎましたが、GEICOでは同等の補償で半額以下でした。

適用可能なすべての割引を確認する。特に複数車割引、バンドル割引、遠距離学生割引などが効果的です。

定期的に見直しを行う。毎年更新時に再度見積もりを取ると、さらに安い選択肢が見つかることがあります。

最終的には「GEICOとProgressiveのどちらが最強か」という問いに対する答えは、個々の状況によって異なります。私の場合はGEICOが最適でしたが、運転状況や居住地によってはProgressiveの方が安くなるケースもあります。重要なのは、自分のケースに合わせて複数の選択肢を比較検討することです。

※本記事は筆者の実体験と調査に基づいていますが、保険料や補償内容は個人の状況、時期、居住地などによって大きく異なります。実際の契約の際は、必ず最新の情報を各保険会社にご確認ください。