米国に居ながら日本の電話番号SIMを保持する術 – 駐在員の知恵

米国に居ながら日本の電話番号SIMを保持する術

はじめに

海外赴任が決まると、様々な準備が必要になりますが、意外と見落としがちなのが「日本の電話番号をどうするか」という問題。銀行口座やクレジットカード、各種Webサービスで日本の電話番号を登録している方も多いでしょう。番号が変わると、認証やセキュリティ確認のためのSMS受信ができなくなり、大変不便です。

今回は、米国に住みながら日本の電話番号を維持する最適な方法について、povo(au)と楽天モバイルを中心に解説していきます。

なぜ日本の電話番号を維持する必要があるのか?

アメリカ駐在中でも日本の電話番号を維持すべき理由:

  • 各種Web認証のため – 多くの日本のサービスはSMS認証を利用しています
  • 銀行・証券会社のセキュリティ対策 – 日本の金融機関の多くが日本の電話番号にSMSを送信して本人確認を行います
  • 出国前の連絡先として登録済み – 多くの契約情報に日本の電話番号を登録していることが多いです
  • 日本の取引先とのコミュニケーション – ビジネス上の連絡先として使い続ける必要がある場合もあります
  • 一時帰国時の利便性 – 日本に帰国した際にすぐに使える番号があると便利です

実は、番号を失ってから「あの時維持しておけばよかった…」と後悔する駐在員は非常に多いのです。では、どのような選択肢があるのでしょうか?

主な選択肢とその特徴

1. povo2.0(au)- コストパフォーマンス最強の選択肢

最大のメリット:基本料金が0円

povo2.0は、auが提供する「トッピング型」の料金プランで、基本料金が実質0円という画期的なサービスです。そのため、海外駐在中の日本の電話番号維持には最適な選択肢の一つとなっています。

主な特徴:

  • 基本料金:0円(!)
  • 維持条件:180日間に一度のトッピング購入が必要(最安220円)
  • 海外ローミング:対応(2023年夏から)
  • エリアトッピング:アメリカの場合、7日間で1,540円から

利用方法:

  1. 出国前にpovo2.0を契約しておく(オンラインで可能)
  2. 180日ごとに一度、トッピングを購入(最安は220円のデータトッピング)
  3. 必要に応じて海外ローミングのエリアトッピングを購入

注意点:

  • 180日以上トッピングを購入しないと利用停止になるため、カレンダーに記録しておくことをお勧めします
  • アメリカでのエリアトッピングは高額なので、現地のSIMやWi-Fiを主に使い、povoはSMS受信専用にするのがコスパが良いです

2. 楽天モバイル – 海外データ通信無料枠付きの選択肢

最大のメリット:毎月2GBまで海外データ通信が無料

楽天モバイルは、海外でもデータ通信が使えるという大きな特徴があります。特に海外と日本を頻繁に行き来する方には便利です。

主な特徴:

  • 月額料金:1,078円(Rakuten最強プラン)
  • 海外データ通信:毎月2GBまで無料(追加料金なし)
  • 対応国:66カ国・地域(米国含む)
  • 設定:追加設定なしでそのまま使える

利用方法:

  1. 出国前に楽天モバイルを契約
  2. 特別な設定なしに渡米後もそのまま利用可能
  3. 毎月2GBまでは追加料金なし、超過時は1GBあたり500円

注意点:

  • 毎月の基本料金がpovoより高額(1,078円/月)
  • 2GBを超えると追加料金が発生
  • 国際電話などは別料金

デュアルSIM活用術

最近のスマートフォンの多くは、物理SIMとeSIMの両方を搭載したデュアルSIM対応機種が増えています。これを活用すれば、1台のスマートフォンで日米両方の電話番号を使い分けることができます。

おすすめの組み合わせ:

  • 物理SIM: アメリカの現地SIM(T-Mobile、AT&T、Verizonなど)
  • eSIM: povo2.0や楽天モバイルのeSIM

これにより、日常使いはアメリカの回線、SMS認証などは日本の回線という使い分けが可能になります。eSIM対応機種であれば、海外からでもオンラインで契約できるサービスも増えています。

日本の電話番号維持コスト比較

各キャリアの日本の電話番号維持にかかるコストを比較してみましょう:

サービス名 月額コスト 年間コスト 特徴
povo2.0 約37円(※) 約440円 180日に1回、220円のトッピングが必要
楽天モバイル 1,078円 12,936円 海外で毎月2GBまで無料
docomo(休止) 400円 4,800円 最長5年間番号保管可能
au(休止) 400円 4,800円 最長5年間番号保管可能
Softbank(休止) 400円 4,800円 最長5年間番号保管可能

※povoの場合:220円÷6ヶ月≒37円/月計算

コスト面だけで考えると、povo2.0が圧倒的にお得です。ただし、使用目的や使用頻度によって最適な選択は変わってきます。

実際の利用シーン別おすすめプラン

ケース1:SMS受信が主目的

povo2.0

理由:基本料0円で、180日に1度のトッピング(220円)のみでOK

ケース2:一時帰国が頻繁にある

楽天モバイル

理由:日本帰国時にすぐに使える。海外でも毎月2GBまでデータ通信無料

ケース3:複数台のスマホを維持

povo2.0

理由:複数台持っていても基本料0円なので、維持コストが最小限

ケース4:日米頻繁に行き来する出張者

楽天モバイル + 現地SIMのデュアルSIM

理由:どちらの国でもすぐに使える環境を維持できる

体験談

実際に選んだのは、povo2.0 + 米国現地SIMのデュアルSIM構成です。

銀行やクレジットカードの認証用にSMS受信できる日本の番号が必要でしたが、日常的に使うわけではありませんでした。そこで、基本料0円のpovoを選択し、180日ごとに220円のトッピングを購入するカレンダーリマインダーを設定しています。

一度、トッピング購入を忘れてヒヤッとした経験もありますが、何とか間に合い、番号を維持することができました。年間440円という維持費は、番号変更の手間を考えると非常にリーズナブルです。

また、一時帰国の際には、データトッピングを購入することで、すぐに使える環境を整えています。

よくある質問と回答

Q: 日本の電話番号をまったく維持しない選択肢は?

A: 可能ですが、日本の銀行口座やサービスの2段階認証などで不便が生じる可能性があります。特に金融関連は日本の番号を要求することが多いです。

Q: 大手キャリア(docomo/au/SoftBank)の休止プランと比べてどうですか?

A: 大手キャリアの休止プランは月額400円程度かかります。povo2.0なら年間440円程度で済むため、コスト面では大きな差があります。

Q: 海外からpovoや楽天モバイルに新規契約できますか?

A: 最近はeSIM対応により、海外からでもオンライン契約が可能になっています。ただし、本人確認書類などの条件があるため、出国前に契約しておくことをお勧めします。

Q: アメリカ以外の国でも同じ方法が使えますか?

A: 基本的には同様の方法が使えますが、対応国や料金は異なります。特に楽天モバイルの無料データ通信は対応国を確認する必要があります。

まとめ

米国駐在中でも日本の電話番号を維持することは、思ったよりも簡単かつリーズナブルに実現できます。特にpovo2.0は基本料0円という点で、単純な番号維持には最適です。

一方、海外でもデータ通信をよく使う方や頻繁に日本に帰国する方には、楽天モバイルの海外2GB無料プランも魅力的な選択肢です。

自分の利用スタイルに合わせて最適なプランを選び、スマートな海外生活を送りましょう!

日本の電話番号を維持するためのチェックリスト

  1. 出国前にSIMロック解除を済ませておく
  2. デュアルSIM対応のスマートフォンを用意する
  3. povo2.0や楽天モバイルの契約を完了させる
  4. トッピング購入のリマインダーを設定する(povo2.0の場合)
  5. 海外用のローミングサービスや現地SIMの情報を調べておく